赤カス(菊の盃)→光→猪鹿蝶


場に取る札が多い時に、まず何から取るべきか迷うことがある。
しかし、状況を細かく分析していくと、優先的に取る札というものが必ずある。
1種類4枚のうちの残りの2枚をも考慮していくと、取るべき札は実際にはほとんど決まってくる。
ただ、とりあえず基本は次の順番で取ることを考えるべきである。

@カス2枚分の札   

自分の手札や相手の取り札が特殊な状況になっていない場合、まずオーソドックスにカス2枚分の札を取るべきだろう。
たとえば自分が  で  を取れるのに で  を取ったとき、
相手が  で  を取ると、「本来自分が取っていたカス3枚を
逆に相手に取られた」状況になり、最悪で差引きカス6枚を損したことになる。
自分があがるにせよ、相手のコイコイを阻止するにせよ、カス6枚の差というのは非常に大きい。
(もちろん   を取ったメリットも当然あるが、ここでは分かりやすくカスについてのみ述べる)。
よって、まずカス2枚分の札を優先的に取るべきである。

A光札     

光は5枚のうち3枚そろえれば役になるので非常にそろえやすい。
あらゆる3点以上(雨入り三光は2点)の役で、もっともそろえやすいため、これはカス2枚札の次に取っておきたい。
1枚も取っていないと、光倍ヅケもあるからだ。
逆に言うと、3枚そろえてしまえば、他にカスなど取る札があれば、ムリに4枚目を取りにいくことはない(五光や相手への光倍ヅケを狙える時以外)。
四光(雨入りでも)で4点しかないし、大して点数が増えない。
特に自分が光を3枚、相手が1枚取っている場合、すでに光倍ヅケもできないし、相手に取られてもその光は相手の得点にはならないからである。「光3枚と4枚は大差なし」と考えるべきである。

B猪鹿蝶   

猪鹿蝶は、これだけで5点というビッグな役である。
カス2枚分、光札の次に取っておきたい札である。
この二人花札では、すでに述べたように、一番得点を稼げるのはとにかくこいこいを繰り返すことである。
そのため、負けそうなときに終盤に猪鹿蝶をあがられても、別に大したことはない。
問題は、早い順目に7点そろえられて、コツコツとコイコイを繰り返されることだ。
そのため、序盤に猪鹿蝶をあがられると、一気に5点が加算され、5コイ、6コイという地獄が待っていることもある。
自分が猪鹿蝶を取り札、持ち札にない場合、まだ出ていない残りの猪鹿蝶やそのペア札は、基本的には出すべきではないであろう。
また、逆に自分が4コイ、5コイとできる時に、相手が猪鹿蝶をあと1枚でそろう、となると、逆転される可能性が高くなる。勝っていても負けていても、常に猪鹿蝶のことは頭に入れておくべきであろう。


同じ種類の残りの札を考慮する


たとえば、場に   とあり、手札に   とある場合、もし   も   もまだ取られていなければ、特殊な状況でなければ、かならず  を取ること。
なぜなら、自分が取らなかった方を相手が取ったり自分が引いてきたりした場合、
 だと将来  か  しか取ることができないが
 だと将来、  か  を取ることができる可能性があるからだ。
これを考えていくと、実はほとんど取るべき順番が決まってくる。

まず、優先的にそろえたい役としては
@カス(2枚分の札を優先的に取る、ということ)
A光
B猪鹿蝶
C赤短・青短・草短
であるから、たとえば特殊な状況にない場合、手札と場札にカスがそれぞれ1枚づつある時に、優先的に取るべき順番としては



となる。ただし、これらは一般に自分の手札や、中盤では相手の取り札などの状況で変わるし、
特に    と  で厳密な差があるかどうかも微妙であろう。
これらは猪鹿蝶がダメでも短冊役があるからだ。

カス以外の札が出ている場合も同様に、取るべき優先順位というものは
かなり決まってくる。
ただ、通常この細かい優先順位がどこまで得点に影響をおよぼすか、を考えると、最優先でマスターすべき事項(セオリー1〜7)に比べると「それほど影響がない」といわざるを得ない。
(もちろん実力が拮抗してくると、長期的にはこのようなテクニックの有無が得点の収支の差につながるのであるが)
ただし、最優先でとるべき   と、最も取るべきではない  との違いくらいは認識しておいてほしい。これらをいつも逆に取るようなことであれば、かなり成績に悪影響を及ぼしているものと思われる。



重要な札をキープする


序盤に大した札が場にないようなとき、自分の手札に  が2枚あって、場に  がでているようなときに、自分が  で  を取れば  は自分がキープできることになる。
自分が取らなければ、もし相手が  を手札に持っていれば、楽々とそれを取り札にしてしまう。
自分が取ることにより、相手を苦しめることができるし、相手があまりうまくない場合には、中盤手札から突然  が出てくることもある。また、単純な確率論でも、2/3は  が山にあるわけで、その時には場に出てから悠々と取り込めばいい。

このような状況で、自分がほとんど優先的に取るのが、
場に  が出ていて、自分の手札に  が2枚あるときなどである。
光札をカスで取る、という行為と、赤カスをキープする、という行為(しかも取ればカスが一気に3枚も増える)の二重の意味があるからだ。


取るべきではない組み合わせ


実戦で非常によく遭遇するケースだが、場合によっては自分が取ることが確定している札を取ってでも、取るべきではない組み合わせというものがある。
以下、その代表的な例を挙げてみる。

〔手札〕  〔場札〕  (逆の場合も同じ)

いうまでもなく、光札の  と、赤カスの  のどちらも取ることができないからである。ほかに取る札がない場合ならやむを得ず取らざるをえないであろうが、自分が取ることが確定している札(はりつきやすでに同じ種類のうち2枚が取られている札など)があれば、そちらを先に取るべきである。

〔手札〕  〔場札〕 

これは、青短の重要性を考慮しない場合、かりに  が取られても、  で最低でもカスの  、最高なら  をキープすることができるからだ。もちろん自分が山から  を引いてくることもあるわけだし、ムリに取るほどの組み合わせではない。
ただし、上の   の例とは違い、「   」の組み合わせを手に入れることができるため、ほかに「相手に取られるかも知れない札」がなければ、これを見過ごして「自分が取ることが確定している札」を取るほどのことはない。
つまり、はりつきやすでに同じ種類のうち2枚が取られている札などよりも、   を優先的に取るべき、ということである。

〔手札〕  〔場札〕 

このような場合も同様で、当然ほかに「相手に取られるかもしれない札」があれば、それらを先に取るべきなのは言うまでもない。(草短の重要性は考慮しないこととする)
とくに相手が    でオープンして  を出した場合などでは、特殊な状況でなければ取らない方がいいであろう。


設 例


〔手札〕          

〔場札〕   

1順目、自分の手札は10枚だが関連する札以外は省略する。場札についても同様。
この場合、残りの札を考慮すれば、  だと最悪  しか取ることができないが、  だと最悪でも  、最高なら  を取ることができる。
つまり、今  を出せば、「最高の組み合わせ」で取ることができるが、逆に  だと「最悪の組み合わせ」で取ることしかできない。
また、一般的に   の優劣は(タネ倍などがあるが)ほとんどないために、現時点で  を出すのは得策ではない。言うまでもなく  を手に入れる可能性や、また  は他の光札に比べて点数が安くなる場合がある(雨入り三光は2点)ため、この中では最後まで出すべきではない。よって
 >  > 
の順番で出すべきである。


カスのABをいつ出すか


また、序盤の戦法として、   をいつ出すか、があるが、基本的にはカスが1,2枚取り札にあって、はりつきなどで持っていかれる可能性が低くなれば、すぐに出すべきだ。
よく達人クラスでも、終盤突然手札から  や   を出してあがる人がいるが、手札は少しでも多いほうが有利だし、先に述べた「最速であがりに向かう」セオリーから見ても、また同じ種類の札が2枚あるとき などは「オープン倍ヅケ」の機会を逃す可能性が増えることからも(自分で2枚のうち1枚を出してしまうなど)、できるだけ早く   は出しておくべきである。

なお、オープン倍ヅケに関しては、1順目など序盤に自分の取り札にカスがないときに、
例えば手札に   があって、場に  があるとき、他に取る札がないときなどで  を出す場合であれば、自分なら躊躇なく   を出して、運良く  を引いてオープンになる可能性を探る。
あがり点が倍になるのであれば、たとえその時に場にハリツキがあるような状況でも、得点期待値でみれば明らかにプラスであると思われるからだ。
(自分がはりつく確率と、オープンになる確率はほぼ同じであるし、はりついたからといってかならず相手に   を取られるわけではないので)