結論:難しければ読まなくて可♪


ここで、簡単な例を出して、「基本的な戦略と特定のプレイヤーに対する戦略」について述べていく。
すべて A=B、B=C よって A=Cというような、当たり前のことである。

たとえば、K1チームと猪木軍がスパーリングするとしよう。以下のメンバーから、同じ選手を何回使ってもいいから、(問題作成上)十分な試合数戦うとす る。(※03年春に講座を執筆のため、多少例えが古くなっているのはご容赦願いたい。今ならミルコ・クロコップが両日本人相手なら95%勝つとしてもいい ところだ。)

別に3人でも5人でもいいのだが、単純なモデルとして2人づつの選手とする。
自分がK1のコーチだとする時、「K1チームから見た」それぞれの予想される勝率は表のようになっているとする。
目的は「長期的に勝率を最大にすること」である。

  安 田  藤 田  (猪木軍)
クロコップ 70% 80%
バンナ 40% 60%
(K1チーム)

格闘技ファンには悪いが、数字は適当である(笑)。
こんなデータがあるならば、K1チームとすれば、全試合ともエースのクロコップを出場させるのがいいだろう。バンナよりも、安田・藤田両選手に対する予想勝率がいいからだ。
逆に、猪木軍とすれば、たとえ勝ち越すことができなくても、全試合安田を出場させるほうがいいだろう。
結果として、あくまで計算上だが、「両チームが充分に賢ければ」K1チームが.700の勝率で勝ち越すことが予想される。

では、次のような場合はどうか?

  安 田  藤 田  (猪木軍)
バンナ 40% 60%
フィリオ 80% 30%
(K1チーム)

ジャンケンのように、安田>バンナ>藤田、藤田>フィリオ>安田となっている。
(「>」は数式の記号としてではなく、イメージとして使っている)

ここで、猪木軍が安田・藤田選手を半分づつ出場させるという情報が手に入った。
K1チームとしては、バンナ、フィリオ両選手を半分づつ出場させると、.525の勝率を期待できる。一方、フィリオだけを出場させると、.550の勝率になる。
猪木チームもバカではないので、K1がフィリオだけを出場させるとなると、藤田ばかりを出場させるようになってくる。
……………
対戦ゲームでは、通常このように、相手の傾向を分析して自分の戦略をかえることができるため、相手が賢くて充分にこちらを研究している場合、必勝法はなか なか存在しない。ただし、「どちらも十分に研究して賢い場合」には、長期的にはある均衡点に達する。
この場合だと、7試合のうちバンナが5試合、フィリオが2試合出場するところに落ち着くと思われる。その場合、K1チームの勝率は.514になるが、いってみればこれがこのチームの「実力」ということになる。

※バンナとフィリオの出場の割合をそれぞれx、yとすると
0,4x+0,8y=0,6x+0,3y
x:y=5:2

猪木がどういった作戦を取ってくるか分からない場合には、この作戦でいくのがよいであろう。奇をてらって、K1チームがバンナ4試合、フィリオ3試合の出 場にすれば、負け越すことさえ考えられるからだ(猪木軍が藤田ばかり出場した場合には.471にさえなってしまう)。
逆にいうと、猪木にとっても、安田と藤田を3:4で出場させることがよいことになる。負け越すことになるが、勝率を最高にするためには、それがこのチームの実力なのだから仕方あるまい。

つまり、東風荘三人麻雀であれば、今対戦している相手が、過去の対戦相手の平均データと比べて「安手でも突っ張ってくるタイプなのか」「好形リーチが多いかど うか」「リーチの平均点数が高いかどうか」などは分からないことが多い。そうした場合には、とりあえず「過去の対戦相手の平均」に対して最適な戦略を取るのが好ましいだろう。
一般的に、こういった対戦ゲームにおいては、特定の相手がどのような手を打ってくるか分からない場合には、彼に対する最適な戦略というものはありえない
(ただし、上の例でいうと、はじめの表にあるように、明らかに「クロコップ>バンナ」といった場合は別。一般に両面はカンチャンより有利、といったことがそうだろう。)

ただし、K1チームがバンナ5試合、フィリオ2試合の割合で出場すると、猪木軍がどのようなオーダーを組もうが、長期的には(計算上)常に勝率は.514になる。
つまり、猪木のマッチメークがうまくてもヘタでも、勝率は同じ(一定)になる、という皮肉な結果になる。


ここで、猪木が組むオーダーの傾向が分かったとしよう。
安田と藤田を4:3の割合で出場させることが分かった。K1チームとしては、全試合フィリオを出場させることにより、.586の勝率をあげることが予想される。

単純なモデルを使って説明したが、東風荘三人麻雀(麻雀一般やそれ以外の確率がからむゲームでもそうだが)でも、基本的には同じことだ。
相手の戦略が分かれば、それに対する最適な戦略は存在する
しかも、これらは通常「データ」などに隠されているために、相手も「なぜかあいつには相性が悪い」と嘆くだけで、なかなかその原因が分からないことが多 い。あるいは勝っている方も、自分がなぜ勝っているのかはっきりとは分かっていないことが多いのではなかろうか。

具体的には、相手のできすぎ君データなどを見て、相手のリーチの傾向を探り、それをもとに「相手のリーチに対する対処」などをすればよい。(一部必要なデータがない部分もあるであろうが)

また、相手がダマの場合やそれ以外のケースであっても、このような考えを使ってどんどん対策を講じていくことはできるであろう。少なくとも自分ならそうする。

これ以外にも、たとえば、相手が極端な守備型である場合には、ブラフで染め手をテンパったように見せかけて字牌を捨てさせないようにすれば相手はオリてしまうだろう。オタ風のドラをポンして字牌を捨てさせなくするのも有効だろう。


さて、本来「セオリーは単純な方がいい」のであるが、東風サンマ自体がゲームとしてはかなり複雑であるので、なかなか「猪木軍とK1チームの対戦」のように簡単にはいかない。

予測されることとしては、あなた自身がどれくらいの実力のプレイヤーであるかによって、上に述べた「均衡点」が変わってくることだ。

乱暴に結論をいうならば、「あなたが1850卓で対戦相手の平均よりうまい人」であれば、先の表よりかは少しオリ気味に打ったほうがいいだろうし、「対戦相手の平均よりヘタ」であれば、少し攻撃的に打ってもいいだろう。
守備力が弱い人は、終盤とんでもない牌を捨てたりしてダマの高い手に振ることがある。勝手に自滅してくれることが多いのだ。上級者であれば、ヘタな人と打つ場合には少しオリ気味に打てば、成績が良くなることを経験しているであろう。
逆にヘタな人であれば、「相手がリーチしている状況」は数少ないチャンスである。実力が出てくればそのうち劣勢になってしまうことが予想される。

(※細かくいうと、データ提供者の実力、彼の対戦相手の平均Rなども関係してくるが、04年3月に40試合ほど打った感じでは、表のように細かい点数で攻 め・オリを判断することはほとんどなかった。ただ、平場でマンガン好形テンパイなのに相手リーチにや仕掛けに無意味におりてしまったり、逆にまだイーシャ ンテンでテンパイまで複数の危険牌を捨てなければならない時に攻めていく、というような判断ミスはなくすようにしてほしい。)